怒涛の週
今週も非常に濃い一週間でした。「年をとると日々があっという間に進んでいく」と良く耳にすることがありますが、全然そんなことがないどころか真逆です。毎日色んなことがありすぎて、とてつもなく長く感じます。写真を見返していたら、数ヶ月前だと感じていた出来事がまだ12月のもので驚愕しました。
今週は会社の仕事以外では、筑波大学と千葉大学で授業がありました。筑波大学では前職時代の先輩と工学部向けのデザイン思考の授業に毎年出続けており、今年は仕事が忙しいため最後の一回の講評のみ参加をしました。千葉大学ではデザイン学科向けに「母校を卒業した先輩たちがオムニバス形式で話す」授業に毎年参加をしていて、今年で6回目ほどとなります( 去年の様子:34通目 )。事前に千葉大学の先生からは「今の学生はコロナ禍の影響で本当に壊れやすいため、彼らに自信を持たせる話をしてほしい」と注文を受けていたため、学生が自信を持てるような言葉を随所に散りばめて話すことにしました。一人でも多くの学生の力のためになれるよう、徹夜で資料を準備して90分間全身全霊の力を込めて話しました。「選んだ大学の学部が正解だということ」や「デザインという仕事の楽しさ」、「デザインの考え方はデザイナーにならなくとも活かせること」など、私のこれまでの経歴と合わせて話していきました。同行した社員が私の熱量に驚いていたので、社員が驚くほどであれば学生の胸にも響くような話ができたのではないかと思います。学生の感想レポートが楽しみです。
いいデザイナーになるために、今日からできること
私はもうデザイナーではありませんが、学生向けには良いデザイナーになるための三つの方法を教えています。
ここぞというときに妥協しない
使う人の気持ちを考える
忙しい時こそ綺麗に残す
1の理由は、妥協してしまうとデザインが長く保たなくなるからです。 良いデザインは長く鮮度を保つことができます。ネフ社の積み木( 60年以上前にデザインされたネフスピール )も、マリメッコのテキスタイル( 40年以上前にデザインされたBOBOO )も、長い時を経ていまだに見る人に新鮮さを与えてくれます。かつて私がデザインした長岡花火のアプリでも、大きく構成を変えずにいよいよ8年目を迎えることができました。妥協せずにその時の力でやり切ることが、鮮度を保つ秘訣です。
2の理由は、使う人の気持ちを考えることはデザイナーにしかできず、身につけておくことで大きな武器になるからです。ユーザーの視点に立つ考え方は社会では当たり前ではなく、デザイナーではない人に囲まれた時でもデザイン思考の根源にある考え方をいつも自然に出来るようにするために、学生のうちから癖をつけておく必要があります。私の会社では、デザイン思考という言葉を使わずに、ユーザー体験をすることの重要性を説き続けています。そうすることで、デザイン思考を全社員に浸透させやすくできている強い会社になれていると考えています。
3の理由は、成し遂げたデザインを一人で満足するだけでなく、多くの人に伝える必要があるからです。せっかく作った成果物も、人の目に触れなければ意味がないことと同義です。取り組んだものを多くの人に伝えるためにも、初期段階の構想からプロセス、そして成果物から利用シーンに至るまで、ファイルを綺麗に整理しておくことで、必要な時に見せられるようになります。可視化して伝えられることがデザイナーの強みであるため、忙しい時こそ記録を整理して残しておくことで、社会に出てからも有用な心がけとなります。この考え方は、「ポートフォリオ」というデザイナー特有の文化が大きく効いています。
学生の心に少しでも響くことを期待します。
今週の写真
京都のBnA Alter Museumの非常階段内を利用した展示「多声性のトーチ」の作品の一つ、香川裕樹さんの作品です。ハンガーや洗濯バサミなどの量産品が綺麗に規則正しく並んでいる様子は普段見ることのない不思議な違和感がありました。
京都は芸術関連の施設が多くて魅力的で好きです。
今週の音楽
Museum of Consciousness - Shpongle
最強のアーティストによる最強のアルバムです。脳が活性化するアンビエントサイケの第一人者、シュポングルの2013年のアルバムです。社員がサイケトランスのおすすめアーティストを募集していたので、シュポングルを伝えました。サイケ界隈では王道であり、これを超えるアーティストはいないのではと思います。1stアルバムも最高です。タイトルが意味不明で大好きです( Are you Shpongled? )。
書きたいことが山ほどありましたが、今日は睡眠時間を削れない日なのでまた来週。
京都では「死ぬほど働く」ことの大切さを教わりました。来年の自分の目標は「死ぬほど働く」にしようと思います。おやすみなさい。