隠し続ける
今週は、自社で大きな提携を行うことを発表しました。上場企業との提携取引であり下手に情報が漏れてしまうとインサイダーとなるため、社外はもちろん社内でも限られた人にしか伝えず、極秘で進めていました。発表当日は多くの社員が驚いており、正しく情報を隠し通せていたことに安堵したというのが私の正直な気持ちです。今の立場では入る情報が秘匿情報だらけで、普段から他者とのコミュニケーションを行う際には気が抜けないため、自分を律する力が求められます。私は剛毅木訥であることを理想としていますが、上場を目指す企業の社長こそ、まさに下手におしゃべりであるより朴訥である人の方が向いているのかもしれません。
提携についてはまた今度の機会に触れます。
好きなものを断つ
半分会社、半分自分のため、来年の始めにある程度まとまったお金が必要となることがわかり、2024年1月からお金を貯め始めています。普段通りに過ごしていては貯まらない金額のため、普通の節約に加え、1年の間は大好きな趣味の一つであるファッションを断つことにしました。私は服が昔から大好きで、頻繁に見たり買ったりしていましたが、2024年1月から一切服を買うことを辞めました。服だけでなく小さな小物まで、ファッションに関わる布という布を一切買わずに過ごしています。ひとまず半年間の縛りに成功しました。
「そんなこと簡単じゃん」と思われるかもしれませんが、みなさんが大好きな趣味を1年の間パタッとやめることを想像してみてください。漫画や漫画、ゲームやSNSかもしれないし、キャンプや釣りに化粧品やお酒など、人によってバラバラだとは思いますが、想像するだけで辛そうに感じる方も多いと思います。私も始めの方はなかなかに苦労しました。普段見ていたファッション系のアプリを全部アンインストールして、ウェブからログアウトし、メルマガを止めました。最初の1、2ヶ月の間は新年セールもあり相当のストレスでしたが、3ヶ月ほどしてから無我の境地に入り、今ではファッションは自分とは一切関係ないと割り切れるほど、煩悩を消しされるようになりました。
すると、お金よりも時間が捻出できていることに気が付きました。普段から何気ない気持ちで割いていた時間がファッションに向いていたことに気が付き、可処分時間を大きく捻出できるようになりました。読書が続けられているのは、可処分時間が増えたことが大きい理由かもしれません。
自分を律する力
お話する素敵な経営者の方々はストイックな方が多く(スノーピークの山井社長は毎日社員の日報を読むそうです)、自分を律することができる方が多い印象があります。冒頭のように情報を隠し続けることも、自分を律することが試される仕事の一つです。無駄に時間を浪費しているものを一定期間スッパリやめることは、自分を律する良い訓練となっています。可処分時間の新たな配分にも繋がるのでオススメです。
今週の写真
森美術館で行われている「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」で撮影した写真です。日本との関わりが深い芸術家のシアスターゲイツは、「ブラックネス(黒人であること)」の複雑性の探究に関するテーマの作品を多く制作しています。写真に写る銀色に光り輝く物体は、ゲイツがお気に入りだと話す作品です。
展示室では、今回のために常滑で焼かれたレンガが床一面に敷き詰められていたり、大量の陶芸作品で壁一面が埋め尽くされていたり、森美術館の資金力とセンスに圧倒されます。ありがとう森美術館、本当に大好きです。
この写真は「基本的なルール」という作品の一部で、取り壊された小学校の体育館の床を組み合わせてつくり出された平面作品です。シカゴで多くの学校が閉鎖され、生徒たちが団体スポーツを通して基本的なルールの重要性を学ぶ機会が減少している状況を反映しています。
私が美術館に行くときは大抵一人で、音声による作品紹介を利用することが多いです。今回の展示は日本人が理解しにくい「ブラックネス」というテーマを扱っているため、訪れる際は音声による作品紹介を利用することをオススメします。
今週の音楽
RP Boo - Established
シアスターゲイツの展示に合わせ、シカゴを拠点とする黒人アーティストのRP Boo アールピー・ブーを紹介します。今回のアルバムはフットワークというジャンルの音楽です。BPMが早く、複雑なリズムであることが特徴です。65通目で紹介した音楽をリリースしているレーベル Planet Mu が火付け役となり、 フットワークのジャンルが世に知られるようになりました。今回のアルバムもPlanet Muからのリリースです。
今週の本
疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた - 近藤一博
顧客に薦められて読みました。ウイルスを研究してきた筆者による、疲労を科学する内容です。「疲労感」と「疲労」の違いは考えたこともなく、興味深い内容でした。「疲労感」は疲れたという感覚で、「疲労」は疲労感の原因となる身体の障害や機能低下をさします。大変な仕事や急な締切に対して興奮して取り組むストレスへの応答や、栄養ドリンクの摂取は、短期的には「疲労感」を抑制してくれますが、「疲労」そのものが減るわけではありません。また、うつ病は「疲労」とウイルスから生じる遺伝子が原因となるそうです。「疲労」をなくすことはできないため、疲れと向き合い、感じた疲れのメカニズムを知ることで、うまく付き合っていいくべきだというようなことが書かれています。
本書では「疲労」そのものを回復させる方法として、軽い運動と適量のビタミンB1の摂取が挙げられています。最近、周りの経営者から「うつ病の社員が増えている」という話をよく聞きますが、リモートワークで出勤という軽い運動がなくなってしまったことが逆に「疲労」を加速させ、うつ病に繋がっているのかもしれません。リモートワーク自体は悪いものではないため、運動する習慣をつけることをいかに促すことができるかが重要そうです。
今週のアプリ
Bloomberg Connects ( iOS Android )
美術館に訪れた際に使える音声ガイドや施設マップを提供するアプリです。世界中で多くの美術館に対応しており、美術館ごとに魅力的な起動画面が用意されています。
良くある美術館では、 Acoustiguide社 が開発する音声アプリが個々の美術館ごとに提供することをコンセプトとしているため、ユーザーは訪れるたびに美術館ごとのアプリをダウンロードする必要があります。日本の美術館でも多く導入されていますが、ウェブで充分そうな機能のものがほとんどで、わざわざアプリにする必要があるのかは疑問です。それに対して、Bloomberg Connectsは一つのアプリで済む設計となっています(日本では森美術館でしか使えませんが)。
どうして多くのアプリが個々の美術館ごとに提供されているかというと、「施設側は独自のデザインで魅力を発信したいと望んでいるから(Bloomberg Connects 開発チームより)」です。そこで、Bloomberg Connects アプリでは施設独自の魅力を伝えながらも、1つのアプリで済む設計にするために、施設ごとの魅力的な起動画面を用意しています。
日本でも森美術館以外に普及して、音声ガイドをダウンロードできるようになること(美術館はネットが繋がらない場合が多い)を強く臨みます。
今週の映画
ミッション・インポッシブル 7(2023年) 10点中4点
バートンフィンク (1991年) 10点中7点
ミッション・インポッシブルは何も考えずに無心で見られます。バートン・フィンクはコーエン兄弟の映画。コーエン兄弟といえばこのブログ。コーエン兄弟もすごいが、全部当てられるこの作者は一体何者なんだ。聖書を完璧に理解し尽くした上で推察していて、天才としか思えない。グッドウィルハンティングの解説も凄まじい。作り込まれた映画には無意味な数字なんてない。聖書読まないとなあ。
また来週。良い夜を。
そんな中ファッション情報送ってすみませんw
おれもなんかやめてみよ〜