好きなものを好きということ
社員に「好きな写真家」を言う機会があり、考えているうちに、ふと疑問が湧きました。
「果たして、挙げる写真家を本当に好きと言えるのか。好きと言えるほど他の写真家の作品をみたことがあるのか。たまたま知った写真家をただ好きというだけで、受け売りな知識をひけらかしていないか。」
好きなものを好きというときに、5人の写真家の作品を見てその5人を好きということと、100人の写真家の作品を見たうえで5人の写真家を選ぶことでは説得力が違います。私は昔から、好きなものを好きというときには必ず多くのものを見てから判断することを心がけています。
中途半端な知識にならぬよう、美術館やギャラリーなどで作品を見たことがある写真家を100人列挙してみました。
・植田正治( 2013年:東京ステーションギャラリー )
・林ナツミ
・荒木経惟
・森山大道
・川島小鳥
・高木こずえ
・平野禎邦
・田口和奈
・シャルロットデュマ ( 2020年:エルメスギャラリー )
・イズマイルバリー ( 2019年:エルメスギャラリー )
・シャルルフレジェ ( 2016年:エルメスギャラリー )
・石川直樹 ( 現美新幹線 )
・ジェイアール ( 2013年:ワタリウム美術館 )
・岩合光昭
・マンレイ
・ブランクーシ
・サイトゥオンブリー ( 川村記念美術館 )
・トーマスデマンド
・星野道夫 ( この人が好きでアラスカに行きました )
・ジョセフクーデルカ ( 2013年:東京国立近代美術館 )
・トーマスルフ
・セドリックデルソー ( ディーゼルアートギャラリー )
・深瀬昌久 ( ディーゼルアートギャラリー )
・藤田はるか
・若山 美音子
・ニコラフロック
・笠井爾示 ( HECTARE )
・蜷川実花
・佐藤時啓
・高木 由利子
・ライアンマッギンリー ( オペラシティ )
・梅佳代
・ホンマタカシ ( 東京都写真美術館 )
・奈良原一高
・オノデラユキ
・稲本紗希
・田村尚子( アーツ前橋 )
・廣瀬智央 ( 白井屋ホテル )
・杉本博司
・ジャンポールグード ( 21_21 design sight )
・篠山紀信
・モホリナジラースロー
・武田慎平
・宮本隆司
・畠山 直哉
・小沢 剛
・ヴァンサンフルニエ ( ディーゼルアートギャラリー )
・リンメン( ディーゼルアートギャラリー )
・ヴォルフガングティルマンス ( 大阪 )
・マイケルヤマシタ
・アンドレアスグルスキー
・今森光彦( この写真集がすごい )
・ベッヒャー夫妻
・アルフレッドスティーグリッツ
・やなぎみわ ( 2024年:宇都宮美術館 )
・木村伊兵衛
・川島小鳥
・原美樹子
・ユージンスミス
・ソールライター ( BUNKAMURA )
・山崎博
・大久保好六
・ヤロスラフレスラー
・福原路草
・ロベールドアノー
・米田知子
・北野謙
・マルヤピリラ
・ソフィカル
・曹斐
・森村泰昌
・中山晃子
・蒋志
・ディルクブレックマン
・ラリークラーク
・ノームクレイセン
・ピッパガーナー
・アネタグジェシコフスカ
・イェンスハーニング
・浜口タカシ
・サウスホー
・ジョナサンホロウィッツ
・黄博志
・北島敬三
・ウィリアムジョンソン( 尾竹栄子 との作品「福島に行く」 )
・アランセクラ
・志賀理江子
・トレヴァーパグレン
・ティナエングホフ
・エヴァンロス
・奈良美智(写真も撮る)
・キースライリー(fabric londonの創設者、実作業は別の人)
・ジェシーカンダ(音楽も作る、4通目)
・小林祐史
・熊沢麿二
・小川月舟
・ロバートキャパ ( 東京都写真美術館の外壁 )
・フィリップハルスマン(かの有名なダリの顔写真を撮影)
・ロールアルバンギヨー
・堀野正雄
100人挙げることができました。そのうえで、この中から5人選んでみました。
★トーマスルフ ( 家に写真を飾るほど好き )
★アンドレアスグルスキー ( 3億円以上の写真 )
★ヴァンサンフルニエ ( スパイダーマンの中に作品が使われています )
★トーマスデマンド ( 全部紙で出来ている写真 )
★マイケルヤマシタ ( ナショナルジオグラフィックの写真家 )
マイケルヤマシタだけ作品の毛色が違いますが、他の4人は作られた感が強い世界観の作品を作る写真家ばかりです。非日常で、作られた世界で、静謐さがあり、同じテーマで繰り返し取られていて、グラフィックデザインのような構成をもつ写真が好きなようです。
好きなものを好きというときに、そのジャンルのものを他にもみたことがあるか考えてみると、好きに深みが出ます。
今週の写真
国立新美術館で行われている展示を撮影した写真です。写っているのはデンマークで孤独死した人の部屋を撮影したティナエングホフの作品です。幸せの国デンマークの見えない闇を見せてくれるどことなくポップな色合いの作品群は、静かな力強さがありました。
9人の芸術家の作品が展示されていますが、どれも本当に素晴らしいです。国立新美術の広さを活かした気持ちの良いおすすめの展示です。
今週の本
苫小牧でたまたま出会い、おすすめの映画や小説を共有し合う仲になった人から貸してもらった小説です。不器用な恋愛の本。不器用な性行為の求め方が映画「ピアニスト」を彷彿とさせました。普段は読まない恋愛小説のジャンルで、すれ違いが苦しくなりやきもきする感覚が新鮮で楽しめました。
今週の音楽
RETURN OF BLACK SEPTEMBER - Muslimgauze
37歳で亡くなったにも関わらず、ものすごい量のアルバムをリリースしたイギリス人アーティストのムスリムガーゼ。中東音楽と電子音楽を融合させた狂気的な音楽です。
このアルバムはあまり聞きやすくはないアルバムですが、選んだ理由はアートワークです。有名な写真だとは知らずにこのアルバムを聞き、2013年にジョセフクーデルカの展示に見にいった際にこのアートワークの写真を見つけて衝撃を受けた覚えがあります。
今週のアプリ
Claude ( iOS )
お世話になっているClaude クロードのiOSアプリが出ました。ブランディングが可愛くて好きです。アイコンも色味もかわいい。AIを利用したアプリ、Artifact( 56通目 )も放射状に線が伸びるアイコンだったので、AIの表現は「放射状の線」というイメージがあるんでしょうね。
折角なので、Claudeに5人の写真家の共通点を尋ねてみました。
Claudeの回答(抜粋)
ドイツ出身者が多い:ルフ、グルスキー、デマンドの3人はドイツ出身の写真家です。ドイツは現代写真の分野で重要な役割を果たしてきました。
そういえば5人中3人がドイツでした。ドイツ出身の写真家が好きなのかも知れません(写真芸術の歴史的にはドイツ生まれのベッヒャー夫妻がドイツの写真芸術に大きな影響を与えていて、そのベッヒャー夫妻の作品が好きなので納得の行く結果です)。当たり障りのない回答もありますが、自分が忘れていた切り口を教えてくれるAIは便利ですね。
今週の映画
生きる( 2023 )10点中6点
生きる( 1952 )10点中9点
ジェニファーのしたこと ( 2024 )10点中7点
アメリカン・ナイトメア ( 2024 )10点中7点
『生きる』は黒澤明の映画で、最近カズオ・イシグロの脚本によりリメイクされました。原作の俳優の感情の起伏がイギリス版ではすっかりなくなり、物足りなさを感じてしまったのですが、こちらのインタビューを観て納得しました。もう一度見直したくなりました。
後半2本は2つともドキュメンタリーで、お客さんのオススメです。
写真家100人数えるのに時間かかりすぎました。見た美術館の場所と年号を全部書こうと思いましたが力尽きました。
おやすみなさい、良い最後のGWを!