久々の知人ら3人に別々に会う懐かしい週、48通目
たまたま予定が重なり、3人それぞれ別々の用事で会いました。
一人は久々に仕事の依頼をくれた友人。10年以上ぶり。あるベンチャーが数人しかいない時に入社し、今では100名を超える上場企業になっていました。
一人は大学時代に一緒にライブに遊びに行っていた友人。こちらも10年以上ぶり。新卒から今まで資生堂でデザインをしており、仕事ぶりを見させてもらいました。
そしてもう一人はベンチャー時代に一緒に働き、その後も一時期の間ロンドンの会社を一緒に手伝っていた先輩。こちらは6、年ぶりくらいでしたが元気で何よりでした。今年一緒にロンドンに行けたらいいな。
今週は、週末に見たアニッシュカプーアの話題を書きます。
今週の写真
アニッシュカプーアの展示を見に行った際の写真です。『普段は有り得ないものがそこにある』という迫力、目に見えない監獄の誕生を形にした、監視社会がテーマの展示です。解説ではパノプティコン(一望監視)というワードも出ていましたが、昨年に星野リゾートがリノベーションすることが決まった奈良監獄でも用いられていた形式で、タイムリーに感じられました。
『暗い赤、血であり内臓的な深みを表す赤は、それ自体が詩的な存在である』と話すアニッシュカプーアの作る赤はおどろおどろしく、観るものの内面まで語りかけてくる力を持つ作品群でした。
アニッシュカプーアのアトリエには下記の言葉が書かれているとのこと。決まりきった価値観を崩していく、アニッシュカプーアらしい言葉ですね。
Disobey, Disagree and Disavow
服従するな、意義を唱えろ、否認しろ
今週の本
1984年 - ジョージオーウェル
アニッシュカプーアの作品の解説文に取り上げられてた小説「1984年」が気になり、半分ほど読みました。
1949年に書かれたとは思えないほど斬新で、微塵も古さを感じさせない世界観に圧倒されます。名著は名著たる所以がありますね。「思考犯罪」「真理省」「ニュー・スピーク」など、ドキドキする発想だらけで本当に面白い。丸石で頭蓋骨を割ろうとした女に「あなたが好きです」と書かれた紙を渡されたときは意表をつかれました。過去を改竄して統治する世界の1984年は、ディストピア作品の代表例とのこと。1949年にここまで壮大な世界観を描ける作者の想像力に感動します。
「ニュースピークが年ごとに語彙を減らしている世界で唯一の言語であることを知っているかい?」
(中略)
「分かるだろう、ニュースピークの目的は挙げて思考の範囲を狭めることにあるんだ。最終的には<思考犯罪>が文字通り不可能になるはずだ。何しろ思考を表現する言葉がなくなるわけだから。」
話せる語彙や言語の量が思考の幅に影響し、その量で人々を統治するという壮大なディストピア、読んだことのない方には強くオススメします。
今週の音楽
黒斑の侵蝕 - Heaven In Her Arms
昔、資生堂の友人から大学時代に教えてもらい、何度もライブに行った激情ハードコアのジャンルのHeaven In Her Arms。今週会った友人との思い出が懐かしくて聴いていました。アニッシュカプーアの作品にぴったり?なタイトルです。4曲目の鉄線とカナリアがオススメ。
今週のアプリ
Ada エイダはAI機能を搭載した病状診断アプリです。アプリと同じ名前の会社名で、ベルリンに本社があります。2017年に本格公開されていますが、それまでに6年間の研究開発が行なわれており、AIブームが来る前から開発に真摯に取り組まれていた数少ないAIアプリのひとつです。Adaの名前は、世界初のコンピュータープログラマーであるオーガスタエイダキングに由来しています。素敵な名前の付け方ですね。
このアプリ、リリース後もアップデートが継続しており、使いやすくなる工夫がされています。リリース当初はチャットボット画面がメインでしたが、現在はタブバーが存在しています。シンガポール空港アプリと同様に、チャットボットは使用頻度が落ちるのでしょう。
また、チャットボット診断を行う際に、冒頭に「重い症状ならこのアプリの使用をやめて緊急サービスに連絡してください」と書かれています。『アプリを使うな』と書く勇気のあるアプリがどれほどあることか。人の命に関わるアプリだからこそ、立ち位置をわきまえた振る舞いをアプリに任せる潔さを感じられました。
今週の映画
グッド・ウィル・ハンティング ( 7/10点 )
ベンアフレックが、主人公のマットデイモンを最後に迎えに来た際の、表情の演技が素晴らしかったです。無言で長回しで、表情だけで満足と寂しさを同時に表現した素晴らしいシーンでした。
アニッシュカプーア、展示期間ギリギリに滑り込めてよかったです。
展示は行きたいと思ったら即行く、鉄則です!おやすみなさい。