体感時間は変えられる
歳をとるたびに、周りが「1日があっという間だ」という話をすることをよく耳にしますが、私はいつも時間が過ぎるのが遅過ぎると感じています。この感覚を丁寧に説明してくれたニュース記事がありました。
私が時間を遅く感じる理由は刺激の多さです。同じ仕事がないことが時間の長さの要因になっていそうです。今週も、良いこと悪いこと含め多くの出来事があり、途方もなく長く感じました。
外部からの刺激については、感じる音や光の量が多かったり、空間が広いところにいるほうが体感時間を長く感じる傾向がある
感覚的にはそうだろうと思えますが、リモートでの勤務が多い社員ほど時間があっという間に感じていそうなのは、上記の要因が大きく影響していそうです。
体感時間の感じ方の速度に良い悪いはありません。「体感時間は変えられる」という認識を持つことは、人の行動を考える際に有効活用できる大切な事実です。
鮮度をたもつ「ヒューストンのUXデザインの話」
体感時間について考えるとき、いつも思い出すのはヒューストン航空の話です。手荷物引渡所の待ち時間が長いという顧客のクレームに対応するために、手荷物引渡所までの距離を延ばし、客に空港内で長い距離を歩かせるようにしたというお話です。
デザイン業界では散々擦り続けられているお話で、今この場では内容には特に触れませんが(興味があれば上のリンクをご覧ください)、この話のすごいところは10年以上語り続けられていることです。本当に良いデザインは鮮度を保つということを示す力強い事例です。
人の行動をコントロールするようなプロジェクトのデザインは、デザイナーだけではなし得ることができず、プロジェクトに関わる全ての人が協力しないとできない内容です。この事例のような、見た目の良し悪しに留まらず本質的な行動を変えるデザインこそ、成し遂げたいデザインです。自分の会社の社員には、本質的な行動を変える本当のデザインの話を形を変えて伝え続けています。いつか、ヒューストン航空のお話くらい語り継がれる行動デザインを提供できる会社にしていきたいと心から願います。
今週の写真
MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERYで開催されている吉野ももの展示「Breathing Breeze」を見た際の写真です。三越本店の6階に入っているギャラリーで、初めて行きました。
この人の作品、写真だけだと非常にわかりにくいですが、凹凸のない一枚のパネルに描かれています。肉眼で見ても気が付きにくいほど精巧にできています。紙のしなりや重なりの影、光の当たり具合を丁寧に描画した非常に繊細な作品です。
本物らしさを際立てている一番の要素は、アウトラインが真っ直ぐでないことのようです。本物のように若干しなっているように見せかけるために、外側が真っ直ぐではなく湾曲しています。
また、全ての作品の裏側に異なる派手な色の塗装が施してあり、作品の裏に別の色の影が広がることで、近くで見ると不思議な広がりを感じます。
生で見る価値のある素敵な展示でした。
今週の映画
ツインピークス シーズン3(2017) 10点中6点
デヴィッドリンチの名作をようやく最後まで見切ることができました。面白かった、面白かったんですが、あまりにも長すぎました。全18話で18時間の映画を見ているようでした。18時間もあるからこそ、わざと長回しにしているようなシーンが多数あり、最後まで見るには愛と気合いが必要です。(睡眠時間を削って…)
ただ、多くの著名人に影響を与えたツインピークスだけあり、やはり一見の価値がありました。シーズン2から25年の時を経て、こんなにも上手く繋げることのできるデヴィッドリンチは恐るべし。25年前を彷彿させるようなシーンを突然挟み込む見せ方には思わずニヤリとしてしまいました。一番良かったのはシーズン1を彷彿させるオードリーの踊り出すシーンです。
私は随分前にシーズン1と2を見て、だいぶ長い間を経て、デヴィッドリンチの死後にもう一度シーズン1からチャレンジしました。カルトカルチャーの教養としておすすめです。
今週の音楽
L’Ecstasy - Hudson mohawke & tiga
ツインピークスシーズン3でまさかのハドソンモホーク本人が出てきて驚きました。ライブも見たことがある、好きなアーティストです。
このアルバムはハドソンモホークがTigaと共にリリースした2023年のアルバムです。アートワークの写真は、なんと豪華なヴォルフガングティルマンス(6通目)の作品です。
今週のアプリ
「My TOYOTA+」は、アプリの使用データから最も人に愛されるアプリを選定する「App Ape Award」の2024で特別賞に選ばれたアプリです。
このアプリの良いところは、車を所持した場合のデモが体験できるところです。車を所持していない私でも、どのような画面で操作ができるのか、車を買わなくとも体験することができます。
Tapoのアプリ(102通目)もそうですが、年々ハード以上にソフトの重要性が高まっています。「車は試乗できるけど、アプリは試運転できない」という古い考え方を捨て、車と同じようにソフト側にも力を入れているトヨタさんは本当に素晴らしいと思います。
明日朝早いのに失敗した…
おやすみなさい、良い夜を!