3000時間の法則を思い出した、50通目
新潟に出張して面接したり、茨城に出張してスタミナラーメンを食べたり、一言さんお断りのお店を教えて頂いたり、今週も激しい週でした。
私も携わっていた小さな案件が終わりを迎え、社内の打ち上げに参加しました。会話の中で「3000時間の法則」の話題が出て、昔のことを思い出しました。
「3000時間の法則」とは、元ネタは調べても分かりませんでしたが、とにかく3000時間続ければ一人前になれるという法則です。信憑性もあったものではないですが、「時間をかければ一人前」くらいの法則として認識しています。
3000時間は1日8時間でたったの約1年
私は大学時、デザイン学科のある大学に「楽しそう」くらいの軽い気持ちで入学し、周りの画力に圧倒され、始めに挫折して絶望するところからデザインとの付き合いが始まりました。「このままだと、卒業する時に飯が食えなくなる」と本気で焦り、大学近くにあるよく分からない会社にillustratorとphotshopの入ったMacを持って突撃します。何でもいいからアルバイトをさせてほしいとお願いし、仕事としてのデザインを学び始めました。
日々焦りながらもデザインの楽しさを味わい、がむしゃらに日々を送っていたところで「3000時間の法則」を耳にします。当時、15年以上前にもなりますが、話の信憑性も調べずに藁にもすがる気持ちで「それしかない」と意気込みました。「1日8時間デザインすれば、3000時間なんてあっという間」。この法則を信じ、とにかく目の前で自分が手を出せるデザインをひたすらにやり続けました。
寝るかデザインするか。当時作ったものは今思い返せば酷いものばかりでしたが、最速で3000時間を超えた自信があります。時間をかけたら良いものが作れるようになる、とは言えない時代にはなりましたが、私が今でもデザインに自信を持てる理由は、学生時代の努力なしには語れません。
社会人は、新たな分野で一人前になれるか
社会人になると、基本的に平日は働く必要があり、学生の時のように無限に時間を費やすことはできません。そのため、新たな分野を学ぶためには、計画的に継続的に進める必要があります。
私は読書と美術館巡りと映画鑑賞が好きです。深く味わうために、極めたい気持ちがあります。ストイックな性分なので、徹底的に続けるためにも3000時間に到達するまでどれくらい時間がかかるか調べてみます。
2024年1月は…
- 読書 3冊 = 読む速度が遅いので、1ページ1分くらいで一冊300P程度だとして15時間
- 映画 5本 = (もっと見ているがsubstackに書いたものは5つ)= 一本2時間として10時間
- 美術 11件 = 1件鑑賞に平均30分+調べる時間30分で11時間
月10時間ペースだと25年もかかり現実的ではないですが、月20時間確保できると12〜13年くらいで一人前となれるようです。デザイナー出身の社長として、審美眼を磨き続けられるよう、3分野で3000時間を目指していきます。
今週の写真
新しくオープンしたギャラリー「THE MIRROR」で撮影した写真です。
「THE MIRROR」は、松川ボックスという宮脇檀が設計した建築物の中にあります。松川ボックスは、コンクリート製のボックス内部に木組の住宅を嵌め込むという独特な設計で、有名な賞を受賞しています。これまで一般公開されたことがありませんでしたが、今回ギャラリーとなり初めて一般の人が入れるようになりました。
3月末までアニッシュカプーアの作品が展示されています。有名建築というだけあり、私が訪れたときに来ていた人々は、アニッシュカプーア目当てではなくどうみても建築家のような人しかいませんでした(扉の開閉前後の見え方を見比べたり、空間の作り方をじっくり見ていたり)。
私の1番のお気に入りポイントは青い和紙の襖です。
今週の音楽
ロンドンを拠点に活動するアーティスト、patten パテン のアルバムです。テキストからオーディオを生み出すAIサンプルを利用して作成された、2枚目のアルバムです(1枚目のAIアルバムはこちら、ジャケットが超カッコいいです)。
とてもカッコよく、いよいよ音楽の仕事もなくなるか?と思わせるほどのアルバム。パテンは人工的に作られた通常の曲もとても素敵なので合わせて聴いてみてください。
今週の本
ヨハネスイッテン 色彩論
社員とイッテンの話になり、久しぶりに手に取り読みました。大学での授業が懐かしくなる一冊です。
大学でデザインの基礎を学んだ人と、パソコンのソフトで綺麗なものを作る練習だけをした人とでは、デザイナーとしての最終的な伸び代に大きく差があるように感じています。デザイナーになりたいと途中から志した人に対して、色や形と正しく向き合い、色のことを知る必要性を伝える機会を設けられるようになりたいです。
ある2色が補色をなしている場合には、これらの2色についての説明もまた互いに補足的でなければならない。
イエロー:ヴァイオレット=輝かしい知識:暗い信仰心
ブルー:オレンジ=すなおな信頼:誇り高き自尊心
レッド:グリーン=物質的な力:思いやり
これは面白い視点でした。社内のデザインの提案資料を確かめる際の、新たな確認指標になりそうです。
今週のアプリ
Clear ( iOSのみ )
読者の方はこちらのアプリをご存知でしょうか。2012年にリリースされたClearは、革命的なインターフェースによりアプリ業界で一世を風靡したと言っても過言ではありません。2015年ごろから開発が停滞していましたが、それももう過去のお話です。なんと、ver2.0が2024年にリリースされました。昔のアプリ業界を知る人からすると、10年以上越しのメジャーアップデートは感動で泣けるほど嬉しいお話です。久しぶりに使おうと思います。
Clearの使用は慣れが必要ですが、独自のUIは他のアプリの慣習とは異なるものの直感的で、記憶に残る美しさや体験があります。当時の基本UIは2024年でも古くならず、本当に良いデザインは古くならないことを示した良アプリです。
今週の映画
レザボア・ドッグス(10点中10点)
クエンティン・タランティーノ監督の第一作です。パルプフィクションを見た後に監督の一作目が気になり鑑賞しました。こんなに完成度の高い映画が一作目とは信じられませんでした。タランティーノは深作欣二に影響を受けていて、深作欣二の「仁義なき戦い」が大好きな自分には最高に好みの映画でした。
何歳になっても学び続けたいので、3000時間頑張ります。
おやすみなさい!