ようやくグッドデザインを手にした32通目。
今週は10月2日の内定式から始まりました。多くの新卒社員が私の会社を1社目に選んでくれることを誇り高く思う反面、彼らを食べさせていかなければならない重圧を誰よりも感じていました。
週の後半には三重県の高専で授業をしてきました。若い学生に話をすることで、何かのきっかけに繋がることを祈ります。そのまま週末に向けて志摩市に実家のある元社員の地方に遊びに行きました。
グッドデザイン賞が発表され、会社で手がけている長岡花火公式アプリが入賞しました。私はこれまでグッドデザイン賞を受賞したことがありませんでした(iF DESIGN AWARDの受賞歴はあるのに日本のグッドデザイン賞はないというのも珍しいとは思いますが )。社長になりデザイン職から離れ、もうデザイン賞を受賞することはないだろうと考えていたので、いざ入賞して自分の名前が並べられているところを見ると感慨深いものがありました。
グッドデザインと私
私はデザインに対して、ユーザーに使ってもらうことへの気持ちが強く、コンペの出展や受賞といった外部からの評価には執着がないのですが、グッドデザイン賞を受賞するプロダクトは学生の時から眺めていました。デザインの力をこれでもかと見せつける素晴らしいプロダクト(2012年の大賞に選ばれている「デザインあ」や、2014年の金賞の「シグマのカメラ」など)が出るたびに、いつか自分の携わるプロダクトも並べたい、当然並べなければならないという気持ちでいました。受賞時に感じた感慨深さは、嬉しさというよりも、尊敬するデザイナーの友人や先輩方も受賞歴のある方が多いため、ようやく自分も同じ土俵に立てたという安堵の気持ちがありました。
想い入れのあるプロダクト「長岡花火公式アプリ」
今回受賞した長岡花火公式アプリは2017年から継続して開発、改善を繰り返しているアプリです。初期のデザインを私が担当しました。その後は別のデザイナーに引き継いで機能追加を繰り返しているものの、基本のデザインはほとんど変わらないまま今日まで来ることができました。アプリ起動時の動画の撮影や編集指示、虹色に光る「なないろライト」やプログラム、マップ機能のUIや各施設の写真の撮影まで、私のデザインが多く残されています。アプリという移り変わりの激しい媒体において、古くならない・なりにくいデザインを提供できたことは、1デザイナーとしての誇りです。
顧客と並走してものづくりを行う、今の会社の姿勢の原点となるプロダクトが評価されたことで、事業への弾みがつくことを願います。また、私が現場のデザインを離れた今、社員には早く私のデザインをより良いデザインに上書きしてくれることを望んでいます。
今日の写真
志摩市から帰る途中に名古屋で寄った、名古屋市美術館で行われていた福田美蘭さんの展示を見に行きました。圧倒的な画力に打ちのめされます(1枚目の写真の真ん中の石庭も「描かれた絵」です)。藝大卒の芸術家は明らかにレベルが違うため、絵を見るとすぐ分かります。
作品に向き合うコンセプトと、それを実現するための画力を見せつけられる素晴らしい展示会でした。三重に用事があってよかったです。
今週の音楽
K-Lone - Swells
イギリス人アーティストのK-Loneが7月に出したばかりのアルバムです。
今回の出張の途中で寄った三重の四日市市のビアバー(私はアルコールを飲まないので同行者が飲むのを見ているだけでした)でK-Loneの1stアルバムが流れていて、あまりに良くて店員さんにアーティスト名を尋ねて知り、三重の帰り道でずっと聞いていました。私は1stアルバムの方が好みかもしれません。どちらも合わせてどうぞ。
今週のアプリ
LEMO FM ( iOSのみ )
質感や特徴など現実世界のモチーフを模倣した(スキューモーフィックな)デザインのアプリです。このようなデザインは、移り変わりの激しいUIデザインにおいて解像度さえ上げ続ければ古くなりにくいです。
LEMO FMは数種類の自然の音が聞こえるだけの単機能のアプリですが、一つ一つのボタンを押した際の振動(ハップティック)や音まで現実世界を模倣した作りになっており、丁寧な作りに感動します。
先週から読んでいる「週4時間だけ働く」が長すぎて読み終わりません。この本に『本を最後まで読まない癖をつけろ』と書いてありましたが、読み物としての本が好きなので意地でも最後まで読みます。
以上、おやすみなさい。