妻が出産後しばらく実家で暮らしていて、私は一人暮らしをしていましたが、週末に娘を連れて帰宅して、3人の生活が始まりました。これまで私は仕事をしながらも趣味の芸術文化を最大限摂取する生活をしてきましたが、今後はさすがに頻度が落ちそうです。家族と仕事を大切にしつつ、可能な範囲で芸術文化の摂取を続けます。
今週はワタリウム美術館に行き、「雨宮耕助展 まだ溶けていない方のワタリウム美術館」を観ました。この展示内の1作品がとても良く、記録しておきます。
この展示では彫刻作品や映像作品などの初期の作品から、VRを活用した最新作まで多様なものが見られるのですが、そのVRの作品がとても印象的でした。私はこれまで、美術館でよく見られる映像作品やVR作品は、避けたり最後まで見ることがほとんどありませんでしたが、今回の作品は最高に楽しめました。
その作品を鑑賞するためには、美術館内のある部屋に入室して、用意された椅子に座りVRヘッドセットをかぶります。すると、自分がいる部屋と全く同じ部屋が投影されて、そこに芸術家本人が現れて直接語りかけられます。椅子が複数あるにも関わらず私の方を見て話していたため、椅子の数だけ撮り直しているようでした。これまで何度も多くの芸術作品を見てきましたが、芸術家本人が同じ部屋ですぐそばで話してくれるような仕掛けに出会ったのは初めてです。作家を身近に感じられてかなり新鮮でした。VRは基本的には別の世界を見せることがほとんどだと思いますが、投影された部屋が今いる所と同じ部屋だったことが新鮮味を増す要因だったように思えます。仮想世界を作り込むことよりも、今いる場所で貴重な人に会えることの方が価値のある、VRの良い活用方法を見せてもらえた気がします。
この体験を利用して、歴史的な環境を実際に用意して、たとえばアメリカ大統領執務室を模した部屋でトランプの席に座ってVRヘッドセットを被ると、ゼレンスキーとヴァンスの口論を目の前で見られるとか、そんな施設があったら需要がありそうだな、なんて思う週末でした。
今週の音楽
Creepy Nuts - LEGION
世界に認められたCreepy Nutsの新アルバム、良すぎ。アルバムタイトルでもあり15曲めのLEGIONは、聖書のマルコの福音書「My name is Legion: for we are many. (わたしの名はレギオン、われわれは大勢だから)」から来ていそうで、世界市場を意識した作り方で一貫していてとてもイケています。Bling-Bang-Bang-bornも意図的にジャージークラブというリズムを取り入れていて、世界的な流行を明確に狙って実現させたCreepy Nutsのセンスに脱帽です。
今週の映画
BrokenRage (2024年) 10点中1点
アングスト (1983年)10点中10点
「BrokenRage」は北野武の新作です。北野武は大好きですが、年老いた感が否めず最後まで見ることがきつい映画でした。
「アングスト」は実際に起きた事件を題材にした猟奇映画です。あまりに激しい内容のため、1983年の公開後に長い間上映禁止となり、日本では2020年に劇場公開されました。内容自体は本当にショッキングですが(本当に閲覧注意です)、演技も撮影の仕方も音楽も圧倒的で、私の中ではベスト5本に入る映画です。特徴的な没入感の強い画角は、体にカメラを巻き付けて撮影しています。1980年代でこんな素晴らしい撮り方よく思いつくなあと。娘役の選抜方法もこだわりがあり、こうした一つ一つの積み重ねが傑作を作るんだと思います。上のリンクで映画監督のギャスパーノエが「今までに60回は観た」と発言してるのも興味深いです。
DIC川村記念美術館の閉館まであと1ヶ月。
「まだなら行った方がいいよ!」とリマインドしてもらえる友人がいて嬉しい限りですが、行けるかな…
おやすみなさい、良い夜を!
LEGION刺さって良かったです!
初かつラストのDIC川村記念美術館、今週末に行くつもりです
子どもがいても美術館はわりといけますよ!映画とかよりも優しい